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鳥◆Soul within

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       はぁとを一つくださいなと

       風わたりが来て言いました

       探さなかったのかいと 賢い人は言いました

       探したけれど見つからなかったと 風わたりは答えました

       探したところを言ってごらんと 賢い人がたずねました

       土の中 雲の上 水の底 森の影 

       心当たりは探したけれど どこにも見つからなかったよ



       おやおや それじゃあやり直し

       探すところを間違えてる それでは見つかるはずがない

       ほらほらそこに きれいな声で歌ってる

       小さな鳥がいるだろう

       どこ どこ どこにと 風わたりは聞きました



       そこ そこ そこさと 賢い人は言いました

       きみの中で歌ってる けな気な小さな鳥のこと

       探し物はそれじゃないかな・・・

  # by wind-walker | 2006-01-26 11:08 | 風のわだち

ストーブ◆Fireplace



        風のつよい晩に

        ストーブにあたった

        じんわりと熱の輪がひろがって

        毛穴から体の芯まであたたまった



        心地よい熱のなかで

        うつらうつらしていると

        わたしの影法師から

        いのちがふわりと抜けでて

        白熱灯の光のなかを飛びまわった

        軽やかな小鳥のように



        なみだが出た

        シチューに入れる

        たまねぎのせいじゃない

  # by wind-walker | 2006-01-22 22:19 | 風のわだち

14の夕暮れ◆Running away

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        はじけた言葉の勢いで  

         ドアを蹴って飛び出した 

        夕暮れの空に浮かぶ金星  

         ポケットには月の石



                 言わずにいさえすれば  

                 通り過ぎた一日

                 ひと言で変わった運命  

                 ねぐらのない日々の始まり



                              夢の風景の中に  

                               すべらかに溶け込もう

                               ただの影法師になって  

                               誰にも気づかれないように



        走れ 銀の自転車  

        どこか知らない街へ

        緑濃い公園を見つけたら  

        片隅のベンチで涙を流そう

        ひっそりと  声を殺して

  # by wind-walker | 2006-01-21 00:53 | 心象風景

生きる◆Beyond the limit

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           苦悩の果てに 見えたもの

             路傍に咲いた 一輪の花

           寝待の月に 愛を問えば

             答えは漂う 青き闇に



                     さんざめく 人群れを背に

                       歩んだ日々は 遠き彼方へ

                     輪廻の苦難 越えゆきて

                       ガラスの心に 満たせ光を



            灯火を手に ともに進もう

               憂いを友とし ここより永久に 

  # by wind-walker | 2006-01-20 23:24 | 心象風景

生きること 死ぬこと◆Lost, yet hoping

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           生きていること 死ぬことの不思議
           さなぎのような体の中に 
           閉じ込められた私の意識
           息を吸うたび膨らむ胸郭 
           心地よい空気の移動
           耳の奥で脈打つ血のうねり
           私にしか聞こえない 秘密のリズム
           刻む時 落ちる砂
           流砂のように変化する景色



           なのに友は死んだ
           桧原村の山林の中で
           家族が触れた頬はまだ温かかった
           魂はとうに去っていたというのに
           お葬式ではみんなが眼を伏せ
           気味が悪いほど寡黙だった
           嗚咽を漏らすのさえ 気が咎めるほどに
           ただ彼らの善良な両親だけが
           はらはらととめどなく涙を流し
           白菊の上に透き通った露をこぼしたのだった



           あれから何年経っただろうか
           それでも私は生きている
           消え入りそうな焚き火に 今日の糧をくべ
           ほそぼそと希望をつなぎながら



           私は死ねなかったのだ
           私の心臓が あまりにも健気に働くから
           私の両肺が あまりにも必死に膨らむから
           私は死ねなかったのだ
           私の血管が あまりにも力強く脈打ちながら
           「生きて 生きて」 と囁くから

  # by wind-walker | 2006-01-17 22:39 | 風のわだち

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