<   2006年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 

変身◆Transformation in vain

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            ある日私は

            私でいることに耐え切れず

            いっそこの皮膚をすっかり剥いで

            別の生き物に生まれ変わろうと

            体の中心に一本の線を引き

            ひんやりとしたナイフの先で皮膚をなぞった

            すると刃が触れた切那

            皮膚から筋膜までめくれ上がり

            そのもも色の裂け目から

            小さな叫びが産まれ出て

            私の鼓膜へ飛び込んだ

            叫びはがらんどうの体の中で反響し

            微細な球体に分裂すると

            血流に乗って体の隅々まで運ばれていき

            細胞の一つ一つに入り込み

            DNAを書き換えようと企むのだけれど

            その行為を阻止する因子によって

            変身は妨げられた



            やがて私は裂けた皮膚を

            ひと針ひと針

            苦渋の糸で縫い合わすのだ
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  by wind-walker | 2006-05-21 00:39 | 心象風景

土曜日のたてよみうた◆Lost love

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                き みの背を

                 よ ぶ声むなし

                  う せし恋の

                   は かなき終わり



                   ひ を数え

                  ま つ森影に

                 だ れ思う

                な みだあふれる





                や るせない

                 き てきの音に
  
                  そ ら青く

                   ば すは走るよ



                   つ み取った

                  く さの花束

                 ろ にくべる

                か いこんの日々
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  by wind-walker | 2006-05-20 16:08 | 心象風景

色街幻想◆Floating visions

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       五月の青い闇の中

       私はか細い少年になり

       夢の迷路へ踏み入った


                  白いうなじに風を受け

                  はだしの足で土を蹴り

                  煙る街灯はすに見て

                  ネオン流れる色街へ



                             着いた路地にはカツカツと

                             商売女の靴の音

                             闇に隠れて覗き見る

                             色めく世界の艶やかさ



                  おいでな坊や 姐さんの

                  胸の谷間でお休みよ



       はだけた胸のその奥に

       うつろな深い洞があり

       寂しい鳥がその中で

       切ない歌をうたってた



                  街の果てには黒運河

                  水面に消える淡い夢

                  佇む老いた船乗りの

                  背中に落ちる時の砂



       五月の青い闇つきて

       夢の迷路を後にした

       連れて帰った寂しい鳥は

       いまも私の胸でうたってる
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  by wind-walker | 2006-05-09 22:56 | 心象風景

眠れない夜のために◆Insomnia

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                 夜の底をうがつ水音

                 眠れぬ魂のノクターン

                 聞いているのは無欲な死人

                 潰えた昨日を懐かしむ

                 夢路の扉は閉ざされて

                 明けない夜の牢獄で

                 呻いているのは咎人ばかり



                 その頃どこかの岸辺には

                 漆黒の天使が舞い降りて

                 弱った子どもの唇から

                 最期の息を奪い取る

                 夜の虜囚はその音を

                 はるかな窓辺で聞きながら

                 縛められた魂が

                 砂のように崩れる時を

                 焦がれるように待つばかり
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  by wind-walker | 2006-05-07 13:42 | 心象風景

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