喪花


 

         弔いの言葉が捌かれて
         彼らはそれを咀嚼する
         通約された痛みの淵に
         紫紺のループを描きながら
         桜は
         自らの闇に向かって落下する


         蒼ざめた幹の震央で
         萌えいづる芽がふるえ出し
         無限の射程の前に頽れる
         その刹那
         予兆は増幅されて
         彼らのしめやかな葬送がはじまる


         散り敷かれた花の上を
         脚の萎えた人の歩調で歩む
         この春の冷気の奥底で
         虚しい深みへと向かった
         流された血のことを想う

        (私たちはただ
         嘆くことしかできないのですか)

 
         晴れわたる空の中に
         桜色の悲哀が透けている
  
         春の溶暗



 
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  by wind-walker | 2007-04-19 22:22 | 心象風景

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